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一年、ソウルへ行くことになりました


 今年2006年9月から一年間、韓国・ソウルへ行くことになりました。劇作家として勉強するためです。ということで、突然ではありますが下鴨車窓もこの「旅行者」が終わると少なくとも2年は休止します。ちなみに写真は古いものですが1年半前に撮ったソウル市内です。
 留学は文化庁の「新進芸術家海外留学制度」という制度で、その研修生としてこの2月に内定をいただきました。平成18年度の予算が国会で通ると正式決定となるそうです(国会の予算が通りました3/27追記)。
 「劇作家として韓国」というと、例えば韓流ブームなんかと連想されるかもしれません。どうして韓国なの?と友人や先輩からもよく聞かれます。事実、劇作家が海外に行く場合にはシェークスピアのイギリスをはじめ、ヨーロッパあるいはアメリカがとても多いのです。野田秀樹もイギリスでしたし、MONOの土田さんもそうでした。正直にヨーロッパやアメリカへ行ってみたい気持ちも十分にあって、きっと多くのことを学べるに違いないと思っています。ただ、今回はちょっと違う視点で考えてみたのです。
 韓国の現代演劇そのものを学ぶというのももちろんありますが、それ以上に韓国社会を日本との関わりで見ておきたいと思っています。先日あるところでこういう文章を書きました。

「一年行こうと決心したのはあるテレビのインタビューを見たときだ。どうしてそんなに反日反日と騒ぐのかと聞かれたある韓国人が答えるには、韓国にはあらゆるところのすみずみまで「日本」がしみこんでいるのだと、だから韓国人のアイデンティティーを明確にするにはまず反日からはじめるしかないのだと。素朴な対抗意識というくくりでは収まらない「反日」。韓国には果たしてどんな「日本」がしみこんでいるのか。華々しい韓流ブームの陰にある日本と韓国の宿命のような何か。特に近代以降、現在に至るまでの日本の陰を韓国で見つけられる気がしたのだった。」

 戯曲あるいは台本と言ってもいいのですが、それがたとえばエンターテイメント性が強くて一見どんなに社会や政治に無関係であっても、その表現には作者の社会観、世界観、現実をどう認識しているかがにじみでるようなカタチで現れていると思っています。特に僕はストイックというか、見た目にも地味な演劇を作るのでなおさらどのように劇世界を描くかだけが勝負みたいな。だからいつもこの社会(日本)をどのように把握するのかが気になっているのです。そういう意味で欧米に渡るよりも、近いところ、しかも長い歴史のなかで日本とさまざまな因縁のある朝鮮半島がとてもぴったり来たのでした。かの地に渡ってこの地をより深く知ること。これが目的です。
 韓国との具体的なつながりはみらいの会の寸劇ツアーで2002年12月に行ったことから始まります。みらいの会の寸劇ツアーはみらいの会の修学旅行も兼ねていて、結果僕も同行することになるのですが、板門店とか戦争記念館とか、ガイドブックに載っていないような「戦争の爪あと系」の場所も多く訪ねました。そこで学んだのは「日本=加害者、朝鮮=被害者」という単純な二項対立には収まらない「歴史」という感覚です。それは何年にどこで何が起こったかという年表の代名詞ではなく、むしろ年表には決して現れない出来事や人間が、僕らの知らないところや時代に確かにあったということ、それへの配慮です。だいぶ小難しくなってきました。とにかくいろいろ考えたというわけです。
 みらいの会の寸劇ツアー兼修学旅行で4,5回韓国に行き、そして2003年3月にそれとは別に松田正隆さんの戯曲「海と日傘」の韓国語版を韓国人の役者と演出家でやるという企画に参加。京都芸術センターで上演したのですが、それにはスタッフとして参加しました。一番大きな仕事は韓国語の上演に日本語字幕をつくって映像で出すという仕事でした。ここで韓国人の演出家ソン・ソノさんと出会い、今回の留学で僕を引き受けてくれることになったのです。
 このようにみらいの会での韓国訪問が一方であって、ソン・ソノさんはじめ韓国の現代演劇の現場の人たちと出会うということがあって、この二本の線が交わったところで今回の留学を思い描いたのでした。もちろん留学の援助をいただくために書類と面接の審査があって、推薦状もいるし受け入れ先の手配もいるし、日本劇作家協会の推薦もいただいてなんとかこぎつけたという具合です。いやもう本当にいろんな方に協力していただいてひたすら感謝です。
 あくまで予定ですが、留学から帰ってきたら今回の「旅行者」の続編を書いてみたいと今は思っています。表現の世界でもいかに目立つかが優先される雰囲気の中で、地味に淡々と、遊劇体のキタモトさんの作品に「闇光る」という傑作がありますが、まさに闇が光ってみえるような劇世界を書けるようになりたいと考えているところです。

noartnolifenewものかき
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>みへんさん
コメントありがとうございます。実は楽天ブログの方は読ませていただいていました。いろいろまた現地で教えてください。よろしくお願いします!
田辺剛 | 2006/08/31 17:33
こんにちは。
新村のハスクのお姉さんから
ご紹介していただき、遊びに来ました。
新進芸術家海外留学制度ですか〜
すごいですね。
私も応募しようと準備したことがありますが、
いろいろあって断念しました。
9月からソウルなんですね。
私も9月2日に新村のハスクの住人となります。
よろしくお願いします。


みへん | 2006/08/31 08:24
あ。どうもありがとうございます。韓国でもてるのかどうかはさておき見聞を広めて参ります。鹿児島からなら関西へ行くよりも近いし、休日使って遊びに来てくださいね。
田辺剛 | 2006/08/07 02:24
すいません。名前を書き忘れていました。
2006/06/19 4:10 AM
のコメントは、先日、記念すべき大台の誕生日を迎えた末吉です。
マメさがないもので、今まで名前書いていないのにも気づきませんでした。失礼しました。
こないだは中3の男の子に「ピーターパン・シンドロームだ」と言われました。もちろんその場で卍固め。
もうすぐ出発ですね。ソウルは名前に魂を感じるのでかっこいいですね。もしかしたら韓国でもてる顔なのかもしれないので、がんばってください。
それではまた。
末吉泰幸 | 2006/08/06 11:07
どなたかは分かりませんがありがとうございます。いろいろと計画を立てているとあっという間の一年になりそうですが、有意義に過ごしたいと思います。
田辺剛 | 2006/06/19 07:40
久しぶりにブログ見て、びっくりしました。田辺さん、韓国に行くんですね。
でも、らしいっちゃ、らしいな。
日本人である自分たちのこと考えるには、一番いい場所かもしれませんね。
一年間、ゆっくり刺激受けて、じっくり考えてきてください。
あと、カラダを絞ってきてください。
土産話待ってます。
お気をつけて
| 2006/06/19 04:10
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