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入管に行くとなぜビビるのか


入国管理局へ行く途中に見かけたお店では、植物が店をはみ出してしまい道路のタイルから出てきている。道路と商店の浸食。どこまでを店といえばいいのか。写真では見えないが、店の中もジャングルみたいで花屋というより植物屋という感じだった。
 その後、下宿のオーナーが部屋の鍵を取り替えてくれて暗証番号も変わったので安心して外出できるようになった。昨日10日に出かけたのは入国管理局だ。韓国に90日以上滞在する外国人は「外国人登録」というのをしなくてはならず行ったのだけど、これが行くだけなのにとても疲弊してしまう。
 海外から芸術家なんかが留学に来るのが韓国では珍しいのか、必ず担当者は「は?」という反応をする。ビザの申請の時もそうだし、そして今回の外国人登録もそうだ。説明を求められて、韓国語で流暢に説明することもできないので英語で言うがよく理解されない。担当者はパソコンでカチカチ調べていたかと思うと突然席を立って他の人と相談したり、そのまま席を外して電話をし初めたりする。
 これが語学留学だったらそういう人は山ほどいるわけだからいつものパターンというように済ますこともできるのだろうけどわたしの前ではいちいち難しい顔をしている。自分の順番が回ってきて、担当者の前に座るときにはものすごくがんばって笑顔をつくっているのだが、まったく効き目がない。まだまだ演技力が足りないのかとふと隣を見ると、順番が回ってきたロシア人の男もやはりがんばった笑顔で椅子に座ろうとしていた。入管に来る人はみんなそうなのか。まあ、笑顔の問題ではないことは明らかだ。

 そもそも普段生活をしていて志村けん以外に「何だお前は」と聞かれることはないわけだが、「お前は誰だ、なんなんだ」と聞かれるととてつもない孤独感というか「え、誰ですかわたしは」とつい聞き返したくなるのを抑えつつ、とにかくすごく不安な気分になる。別に悪いことをしたわけでもないのに、ビビってしまっている。小難しく言えば、国家とか国とか法とか、そういったものも自分のアイデンティティを構成する一部になってしまっているのだということ。なんとかの書類がないとダメだとか、それがなければ外国人としての登録もままならない。しかし日本に入ろうとする外国人に対する(日本の)入管の冷たい態度もああいう感じだから、これは韓国だからというわけではないはずだ。国と国との国境線はあの植物屋と道路の浸食のようにはならないのだと、そういうことなのだろう。
 そして入管の建物を出るときに一気に疲れが出て来るのだった。また後日来なければならない。そう思うとさらに憂鬱になる。

 ここ二、三日、すごく疲れやすいなと思ってどうしてだろうと考えていたら、入管がらみのことも気になっているのだろうけど、やはりことばの問題だと思い当たった。すべての音を聞き分けようとし、すべての文字を見分けようとし、頭をフル回転させている状態なんではなかろうかと。いつもだったらある程度で起きてしまうところが12時間くらい平気で寝ていられる。
 おそらく特にこの一ヶ月、二ヶ月くらいは試練になるのだろう。ことばがどうやって身体になじむのか、今のうちにしかその感覚は分からないだろうから、しっかりと自分を観察しておこうと思う。
 明日は無事に外国人登録ができますように(祈)。

noartnolife

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>小暮宣雄様
コメントありがとうございます。テレビのニュースや新聞では止まることなく同じニュースが繰り返されていますが、街は見た目にはいつもと変わらず平穏です。
林さんとの紙芝居もうまく進んでいきますようお祈りしています。今後ともよろしくお願いします。
田辺剛 | 2006/10/12 20:12
田辺さま

興味深く、読ませてもらっています。
国境と演劇(人)について。
いまはとくに緊張感が高くなっているのでは、と思いました。
こちらは、去年につづいて林さんと紙芝居づくりですが、まだ入り口に到達できていない(肝心の障碍のある人たちとの関係がこれから)状態です。
ではでは。
小暮宣雄 | 2006/10/12 06:42
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