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それをトトロだと思え


韓国の地下鉄で油断している暇はない。今日はこれだ。
 韓国の新聞は日本に比べると種類が多いようだ。売店を見ても一般紙からスポーツ紙までいろいろある。で、新聞は読まれると捨てられることなく、座席の上にある荷物置きに置かれる。それを他の人が見つけて手に取る。時にはその人は隣の車両に移動して、つまり新聞も別の場所に移動する。こうして新聞は地下鉄の車両のなかを人の手から人の手に渡り歩いて循環するである。
 韓国の新聞は旅をする。もしかすると例えば1号線から2号線へと乗り換えをしているかもしれないのであって、そう考えていると家出のドリッピーのお話が思い出されてならない。
 だから今のところゴミ箱に捨てられるのを見たことがないのか、と思っていたらこの写真のようになっていたのだ。これはおそらく日にちが経ってまだ車両のなかに残っているものが集められているのではと推察する。これは自動で動く機械ではなく、おじさんが一人この台車についていて地下鉄内から新聞を集めて回っている。おじさんは台車のそばで支えて立っては、新聞がこぼれ落ちないようにはみ出しているところをトントンと叩いている。そして周りに座っている、明らかに初対面と思われるおじさんたちと談笑していた。そしてこのおじさんは仕事としてこの新聞回収をしていることも分かる。というのも、こんな大きな台車が改札口を通ることはできないわけで、だからそれは特別な出入り口を通るはずだ。勝手にこんなことやろうと思えばどこかで駅員が止めるに違いないから、認められて改札を通っているという理屈になる。

 これは今日もまた入管へ行こうと地下鉄に乗ったときのことだった。シャワーは浴びたはずなのにまだ頭はぼんやりしていたのか「それをトトロだと思うのはどうか」と思いついたのだった。そうすると目が離せなくなる。トトロはおじさんが離れて倒れそうになったが、なんとかふんばる。がんばれトトロ。おじさんがいないあいだに写真を何枚か撮った。電車が揺れるものだから写りがよくないなと確認しているうちに、トトロはおじさんと消えてしまっていた。ちょっと目を離した隙にあっという間にいなくなった。あの台車をひいて電車を降りるのだから、もたついたり音がしてもよさそうなのに、いなくなつたことにまったく気がつかなかった。まさにそれはトトロのように。「それをトトロだと思うのはどうか、いやむしろ思おう、思え」。トトロのテーマを口ずさみこそしなかったものの、少し足取りも軽くなり入管へ。今日は入管の担当者も笑顔のように見えた。そしてわたしの書類は無事に受理されたのだった。
 入管を出るとやはり疲れがどっと出るが、そのまま下宿近くのスタバに行って韓国語の勉強をする。日に日に聞き取れる量が増えて来るのが面白い。身体が外国語のなかになじんでいくという体験。今のうちにしか感じられないこの感覚をしっかり覚えておこうと思う。

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