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観劇後のアンケートを手紙だと思うことにする。Webでは慎重になる。
最近観劇をするときに心がけていることは、あのアンケートに短くても感想を書くということだ。
 欧米もたぶんそうなのだろうけれど、わたしがかつて滞在した韓国では観劇するときにいわゆるアンケートは配布されない。アンケートとはつまり、ダイレクトメールを送るので住所や氏名を教えてほしいということと感想を一言ぜひというもの。どうして日本にだけあるのだろうと考えていたけれど、ほとんど慣習のようになっていることもあるが(つまりよく分からないがみんなそうしているからということで)、観劇後に作品について語り合う習慣があまり無いからじゃないのかとも思う。
 「観劇」というのは、時間をつくってお金を準備して指定された場所(劇場)へ出かけてそこで上演される劇を観るということだが、正確にはその作品がどうだったのかを語り合うことまで含まれるのだろうと思っていて、実際に「あの作品観た? え、え、どうやった?僕も見てん」という話を友人たちと後日するのがとても楽しい。むしろ「語り合うこと」までを"観劇"に含めると、演劇やダンス、音楽もそうだろうけど、大きなくくりでいう舞台芸術はずいぶんと楽しくなるのではないだろうか。

 きっかけはわたしがディレクターを務める劇場「アトリエ劇研」で行われた公演を観るときのことだ。観劇後に作り手の人たちと話す時間がわたしにも彼らにもあって、かつ作品が刺激に満ちたものであれば、直接お話しするし、そうしたい(一番良いのはその後飲みに行くこと)。けれどもそうした条件が一つでも欠けているときには「お疲れ様でした」とだけ言って去ってしまう。それはどうだろうと疑問に思いつつ今までやってきてしまった。特にディレクターという職務にあって何かコメントをした方がいいのではと。もちろん余計なお世話かもしれない。わたしの自意識が強すぎるだけのことなのかも。そのあたりで逡巡しているうちに今まで来てしまった。
 アンケートに簡単にでも書けばいいのではと思うようになったのは最近のことだ。アンケートというより、ちょっとした書置きのような、あるいは手紙だと思うと書けるようになった。"アンケート"と言われると何か否応なしにわたしが調査されるような印象でも受けるのか、そこはかとない「ご遠慮申し上げます」感が出て応える気にならないが、自ら相手に宛てた書置きだと思えば、それは悪くない。そんな長文は期待されていないだろうし今書ける範囲で、しかも残念なことに作品がイマイチな時でも面と向かってはなかなか言えないが、"書く"ことでならなんとか工夫して伝えられる。それをしておけば、しばらくして作り手の人と会って話をするときも前置きをしてあるから話もしやすいし、便利なのではないか。一世代上の先輩たちなら飲み会の席で罵って罵られて殴り合いみたいなこともあったろうしそれに比べればなんとも気弱なということではあるが。
 
 一方Webで感想めいたものを投稿するのは慎重になる。作品を否定する趣旨のものについてはなおさらで、それは対話にならないからだ。Twitterはある投稿に対してリプライ(返信)する仕組みがあるが、あれも"対話"にはなりえない。"対話"になっているような体裁なのでちょっとタチが悪いとすら思う。それ以上に、"対話"になるかならないか以上に、言葉足らずの投稿が延々とリプライ(再配信)されて広がっていくことの恐ろしさだ。ある人の感想なり思いの断片がリプライによっていつのまにかその人の思いの全体になってしまう。
 いまのところ、Twitterに投稿するのは素晴らしい作品と出会ったときにその宣伝に協力するという意味においてだし、それだけにとどめずに、できるだけブログなどの字数制限がないところで文章にした方がいいと思っている。そしてそれは"感想"ではなく"批評"であることを目指して。

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